裁判は一日で終わったので、残りの滞在期間中に職探しをしようとLAの中にあるいくつかの日本人オーナーのサロンを回ることにした。ビザをサポートしてくれるお店を探そうと、ある美容室の日本人オーナーに会った。 「キミね、ビザがどうのこうの言ってる段階でおかしいよ、本当にアメリカに住みたいのなら、今すぐ自分のパスポートをここで破り捨てるくらいの覚悟がないと無理無理。自分だって10年前はパスポートなんで破り捨てたから」。 結局は、ビザのサポートはサロン側のリスクが大きいからできないが、僕が日本のパスポートを破り捨てて違法就労で働く覚悟があるのなら雇ってやると言わん … [Read more...] about 第5話) 海外に幻滅した。
第一章 ブリスベンと英語
第4話) LAでの裁判
アメリカのビザが切れるので、一度日本へ戻った。そしてすぐにアメリカから電話が掛かってきて、「証人としての出廷命令が出てる、ビザが発給されるので、住所を教えて欲しい」とのことだった。損失分のお金は全額戻ってくるとは思ってなかったが、アメリカの法廷に立つことができるなんて、一生に一度あるかないかのチャンス!飛行機代は実費だったが、二つ返事で行くことにした。 電話の後、数週間経って アメリカの警察からレターが届き、それを持って札幌のアメリカ領事館へ行った。丁度ニューヨークの … [Read more...] about 第4話) LAでの裁判
第3話) アメリカ生活の夢を叶える
三十路に差し掛かった頃のある日、アメリカ人と結婚をした友達のお姉さんが日本へ一時帰国するとのこと。是非とも海外の話を聞いてみたく、海外の美容師事情について聞いてみた。 「本当に海外って、上手な美容師さんがいなくて、だから海外特派員とかテレビに出てくる人って、変な髪形してるでしょ」 「なるほど…、自分の次の向かう方向はこれかもしれない」 14年の日本の経験があれば…、鋏と櫛さえあれば…、自分は世界中どこにいたって生きていける。やはり昔に夢見た海外へ挑戦してみようか!でも、どうやって? そう思っていたころ、一冊の本を手にした「アメリカ生活の夢を叶える」とい … [Read more...] about 第3話) アメリカ生活の夢を叶える
第2話) 鋏と櫛だけでは世界で通用しない
オーストラリアに来た当初は、当たり前だが誰も僕の事は知らない。普通に英語を勉強している語学学校生、日本から来た留学生である。 英語力はゼロに等しく、テキストの中で分からない単語は「殆ど全部」って感じだった。 銀行へ行っても「英語を話せる人を連れてきなさい」と怒られて口座開設してもらえず、悔しくて隣のライバル銀行へ行って開設した。 プリペイドの携帯電話を買うと、使用開始するには電話会社へ電話して、生年月日やパスポート番号などを知らせなくてはならないのだが、あまりにも僕の英語が通じないので 「ちょっと待ってて」 と言われ、そのまま受話器を机の上に置いたまま … [Read more...] about 第2話) 鋏と櫛だけでは世界で通用しない
第1話) ブリスベンで有名になる。
<2007年夏> 英語環境の中で仕事をする、外国人の中でたった一人の日本人が自分、これが5年前に掲げた目標だった。今、こうして全員がオーストラリア人、正確に言えば多国籍な英語人に囲まれている。 南アフリカ生まれでイギリス育ちのポールはサロンのオーナー。 オーストラリア生まれのフィオーナは受付と経理全般を行なう頭の切れるシングルマザー。 全国大会チャンピオンという経歴のアンソニーはコテコテのオージー訛りの英語を話す。食べ物の話をいつもしている。 アイルランド生まれでアメリカ育ちのスチュアート、世界で一番大きなヘアカラーの会社でインストラクターをして … [Read more...] about 第1話) ブリスベンで有名になる。