第2話)日本とオーストラリアの教育の違い。

専門学校レベルでのオーストラリアの教育は、日本より優れている所あるように思えた。豪州では州立と私立とに分かれ美容師科があり、Certificate(資格)を取るためには現場で4年の見習い期間を、週に4日働きながら、そして週に一日だけスクーリングに通う方法。そしてフルタイムで1年間のコースに通って、卒業するとCertificateがもらえて、見習い3年生として就職する。よって学校を卒業してから2年は見習い期間を得て、Qualified Hairdresserを取得する。もしくは学校を卒業と同時にTRAという審査機関の試験を受けて飛び級のように一発試験でQualificationを取得してもよい。

 

僕が通っていた州立のHairdressingコースは、全員オージーの生徒と先生の中、僕だけが留学生でアジア人だった。やはり英語での授業は厳しいものがあるし、ちょっとしたコミュニケーションのミスでとんでもない事故に繋がる可能性もあるので、日々緊張感を保って授業を受けていた。日本で経験が10年以上あっても、英語環境になるとこれほどまで大変なのかと感じたので、もし経験のない留学生は、英語の授業をどこまで理解をしているのか、そうとう大変だろう。

 

一 年コースのうち、前半の半年間は理論を習う。モデルウィッグを中心に、カット、カラー、シャンプー、セット、ブロー、パーマなどを習う。アサイメント(レ ポート提出)も頭皮の皮膚疾患についてリサーチをしてレポートをまとめたり、カラー剤の種類と用途についてエッセイを書いたりした。これは日本語でなら全 て理解していることなので難しいことではなかった。

 

ただ、習練するという感じではなく同じことは二度とやらない。先生が一度デモストレーションを行い、それを生徒が真似をして実際にモデルウィッグで行い、先生が注意をしながら要所要所を教えて終わりという感じだった。シャンプーも先生が一度見せてくれるが、あとは生徒同士がお互いにモデルになってやり合いをして終わり。なので数時間しかシャンプーもしない。全てがそんな感じなので、家に帰ってから復習をかねて自分で練習をしていないと、あとが大変だと思うが、誰もやっていないだろう(笑)。

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州立のHairdressingコースは、週に三日の授業だったので、どこかのサロンで見習いとして働きながらも通える。逆に残りの4日を遊んでいると後半の半年間が苦労するでしょう。

 

僕 が受けた日本の教育は、皮膚科学、解剖学、香粧品科学、伝染病学、公衆衛生学、そして物理と化学があり、もちろん椅子に座って授業を受けていた。しかし こっちは、そのような椅子に座って行う授業というのは、カットやカラーの実技に入る前に行う理論を少しやるだけ。90%が実技中心のカリキュラムであった。


後半の半年は実践。学校内にサロンがあり、そこでお客さんが実際に予約をいれて、カウンセリングをして、お金を頂くという、大学付属病院のような?形態である。生徒は、かかっ てきた電話を受け取り予約を入れ、予約の前日にはコンファーム(確認)の電話を入れてお客様に忘れられないように来てもらう。予約の時間に来たお客さんを案内し、オーダーを取り、そのオーダーの内容を先生に口頭で伝え、「だから自分は何をこれからするのか」を図入りで説明をして「GO」をもらってスタートする。

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それが、終了すると、先生が全てチェックをして合否を決められる。毎日が試験なのである。ワンレンを3つパスするとワンレンの単位を取得、それをレイヤー、 グラデーション、カラーも永久染毛材、半永久、パーマはロング、ショート、そしてセット、から縮毛矯正、メンズカット、シェービング、ひげのカットまで、 ほぼ3回ずつパスしないと単位が取れなく卒業できない。現に同級生の半数は卒業できなくて留年してしまった。

 

前半のウィッグで練習している時から、反復練習を自分でおこなっていないと、この後半の実地訓練の時に怖くてお客さんに触れない。しかしメンズのお客さんなんて、生徒数×3人も来ないし、取れる単位はできるだけ早く取っておかなければ卒業できない。

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オーストラリアの学校教育の良いところは、実践を体験できて、いち早く現場になれることができる。しかし悪い所が、卒業したら「私は一人前のHairdresser」と向上心をわすれてしまうところである。

 

日本の教育の悪い所は現場を体験する機会が非常にすくなく卒業してサロンに就職するところか もしれない。生身の人間、しかも全くの他人の髪に触れると言う経験をしないで現場に立つと、ものすごい緊張感とストレスだろう。しかし、その反面、理論的 には深い所を知っているし、先生も「学校出たくらいでは使い物にならない」と言ってくれるので、サロンに立ってからがスタートラインと気づいている。

 しかし、全ての勝負が現場である。その現場のモチベーションの違いが日本のレベルの高さを物語っているようだ。